スエードシューズのセルフクリーニング完全ガイド
柔らかいベルベッドのようなテクスチャーが特徴のスエードは高級なレザー素材として、スタイリッシュでクラシックな美しさを放っています。特有のラグジュアリーな触り心地で愛され続けるスエードは水気に弱く、汚れなどが付きやすい繊細な素材であるため特別な管理を必要とします。こちらのガイドではスエードのシューズを管理しケアするすべての過程を詳しくご紹介します。必要な道具から保管方法、様々な汚れの対処方法までご確認いただけます。
スエードとは何か、なぜ特別なケアが必要?
スエードは、柔らかいベルベットのような質感と、独特の起毛した表面が特徴の高級レザーです。このプレミアムな素材は、革の内側の層を丁寧に加工することで生み出され、繊細な手触りと上品な印象を持ち合わせています。また、特殊な製造工程により、水分や汚れにやや敏感な性質を持っているのも特徴です。
スエードは柔らかくベルベッドのようなテクスチャーと繊細な特性のおかげでラグジュアリーな魅力を醸し出し、洗練されたデイリースタイルを完成させる素材として人気を集めています。チェルシーブーツ、ローファー、スニーカーなどのシューズに用いられることが多く、感性がありスタイリッシュなムードを演出することができます。
工夫次第で、スエードシューズは一年を通して楽しむことができます。スエードはそのぬくもりのある質感から、一般的に秋冬に好まれる素材ですが、実は春や夏の晴れた日にも実用的に取り入れることができます。というのも、スエードは吸水性が高く水分に弱いため、水に触れるとシミや素材の劣化を引き起こすおそれがあるからです。
ポイント
すべてのスエードが同じというわけではありません。たとえば、淡い色のスエードは汚れがつきやすく、他の生地から染料を吸収してしまうことがあります。一方で、濃い色のスエードは明るい色の素材に色移りする可能性があります。さらに、本革スエードとフェイクスエードでは、質感や耐久性、お手入れの方法にも違いがあります。それぞれの特徴については、以下で詳しくご紹介します。
天然スエードとフォースエードの違い
天然のスエードは動物のレザーによって作られ、フォースエード(フェイクスエード)は合成素材で作られています。天然スエードは耐久性に優れナチュラルなしなやかさを持っています。反対に、主素材がポリエステルで作られているフォースエードは、頑丈さに長けており水気や汚れに強く、管理も比較的簡単です。そのため天然スエードはフォースエードに比べて、より繊細なケアを必要とするのです。
次のセクションでは天然スエードのクリーニング方法に重点を置いて、スエードシューズをしっかりケアする方法をお教えします。
スエードシューズのクリーニングに必要な道具
スエードシューズをクリーニングする際は、適切な道具を使用することが最善の結果を保証します。
必要な道具 目次:
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スエードブラシ
スエードブラシは最も基本的な道具で、一般的に硬めの馬毛ブラシが使われており、余分な汚れをやさしく取り除くだけでなく、擦れ跡を目立たなくする効果もあります。また、スエードブラシはケア用品をスエードの表面に均一になじませる際にも使用でき、素材を傷めることなく仕上げることができます。
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スエード用消しゴム
部分クリーニングが必要な時はスエード用消しゴムが便利です。壊れやすいゴムで作られ水汚れ、ほこり、さらに頑固な汚れまでをも効果的に取り除いてくれます。早急な対処が必要な場合は、普通の消しゴムでも代用できます。
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スエードクリーナー
より強力なクリーニングを要する場合はスエードクリーナーをご使用ください。こちらの製品は濃縮された液体状で、しつこい汚れまで浸透し効果的に除去します。汚れの種類によってはご家庭にある代替品も活用でき、一般的な汚れにはホワイトビネガーを、油汚れにはコーンスターチや重曹を代用するのが良いでしょう。
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スエード保護スプレー
スエードシューズをクリーニングした後は、乾かしてから透明な防水スプレーを吹きかけてください。水分によるスエード表面の損傷を防止してくれるのはもちろん、ほこりや汚れから守ってくれるのです。
ステップ別ガイド:スエードシューズ セルフクリーニング方法
必要な道具をすべて揃えたら、ご自宅でも簡単かつ安心してスエードシューズをクリーニングしケアするために次のステップをご参考ください。
Step 1:スエードシューズを準備
クリーニングを始める前に、シューズが完全に乾いているか必ずご確認ください。シューズ表面に湿気が残っている場合は自然乾燥させることが重要です。また、シューレースやチャームなどの装飾はできるだけ全て取っておくとさらに良いでしょう。内側の湿気を防ぐためには、小さなタオルや丸めた紙、またはシューキーパーを靴の中に入れておくのも効果的です。
Step 2:表面に付いたほこりを優しく取る
スエードシューズは決して水に浸して洗ってはいけません。スエードは多孔質の素材のため、水に濡らすと元に戻らないダメージを受けてしまいます。表面の汚れを落としたい場合は、毛並みに沿ってやさしくブラッシングしましょう。汚れが気になる部分は、軽く力を加えながら前後に動かすようにブラシをかけると効果的です。
Step 3:スエード用消しゴムで汚れ・擦れなどを落とす
汚れや擦れ跡を落とす際は、スエード用消しゴムを使うのがおすすめです。ブラシを使うと、汚れがかえってスエードの奥に入り込んでしまうことがあるため、こちらのステップでは消しゴムのほうが適しています。使用する際は、素材を傷めないようにやさしくこすりましょう。より頑固な汚れについては、次のステップをご覧ください。
Step 4:スエードクリーナーで酷い汚れなどを落とす
より頑固な汚れには、スエード用クリーナーを使用しましょう。マイクロファイバークロスに少量のクリーナーを含ませ、汚れの部分をやさしくたたくように拭き取ります。変色を防ぐため、使用前に目立たない部分でテストするのがおすすめです。一度にたくさん使用せず、少量を丁寧に塗布しましょう。また、酸性の性質を持つホワイトビネガーをは汚れを分解する効果がるため代用としてお使いいただけます。
汚れの種類によって適切な処置方法に違いがあります。詳しくは以下をご確認ください。
水汚れ
雨や水によるシミをケアする際は、まず該当部分に少量の水を吹きかけます。次にスエードブラシを使ってやさしくなじませ、マイクロファイバークロスやペーパータオルで余分な水分を軽く押さえるように吸い取りましょう。自然乾燥させ完全に乾いたのを確認してから防水スプレーを使用すると、その後のシミ防止にも効果的です。
道路用塩
スエードシューズを雪の日に履くことはあまりおすすめできません。融雪剤に含まれる塩分がスエードを乾燥させ、シミの原因になることがあるからです。万が一シミになってしまった場合は、完全に乾いてからケアをしましょう。まず、スエードブラシで表面の余分な塩分を取り除き、汚れた部分にはスエード用クリーナーやホワイトビネガーを含ませた布でやさしく押さえるように拭いてから完全に乾かしてください。
油汚れ
油が付着しあまり時間がたっていない場合は、シューズにコーンスターチや重曹をかけて一晩置いて油分を吸収させてください。汚れが悪化するのを防ぐため、先に目立たないところでテストするのがオススメです。その次に、ブラシでコーンスターチや重曹の層を落とします。表面に残った油の量に応じて、こちらのステップを油分が吸収されなくなるまで繰り返してください。
それでもシミが残る場合は、スエード用クリーナーを含ませた布で拭き取るか、食器用洗剤を使用しても構いません。その場合は約10分ほど置いた後、濡れた布で残った成分を拭き取ります。
泥・土汚れ
シューズが乾いている状態でスエードブラシを使い、やさしく泥や土を取り除きます。その後、マイクロファイバークロスにスエード用クリーナーを含ませ、汚れが浮き上がるまでやさしく拭き取ってください。
それでもシミが残る場合は、専門のクリーニングに出すのも良い方法です。一般的な注意点としてスエードシューズはやさしく扱い、絶対に水に浸さないようにしましょう。
Step 5:乾燥させる
シミのケアが終わったら、布やペーパータオルで余分な水分を軽く押さえて拭き取りましょう。シューズは直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所で自然乾燥させてください。熱によってシューズの形が変形する恐れがあるため、ドライヤーなどで乾燥を早めるのは避けましょう。乾燥させる間、シューキーパーやタオル、丸めた紙を靴の中に入れておくと、形を保つのに役立ちます。
Step 6:毛並みを整える
スエードの柔らかくベルベッドのようなテクスチャーは非常に小さな動物の毛で構成されており、これらをナップ(Nap)と言います。スエードシューズは着用したり汚れを落とす過程でナップが押しつぶされたり固まってしまうことがあります。ナップを復元するには、スエードブラシを使い短いストロークでやさしくブラッシングしてください。
Step 7:スエード保護スプレーを吹きかける
スエードシューズを長持ちさせるためには、予防が何より重要です。そのため、スエード保護スプレーの使用が大切です。保護スプレーはシューズを汚れや水から守る効果があり、色味を保つことができる製品もあります。使用方法はメーカーの指示に従い、ムラにならないよう均一にスプレーしてください。保護スプレーをデイリーケアとして取り入れることで、スエードシューズの寿命を延ばすことができます。
スエードシューズ ケア&保管のコツ
スエードは繊細な素材であるため、素材に合ったケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。こちらでは、スエードシューズをケアする際に押さえておきたい基本のポイントをご紹介します。これらのポイントを守ることで、長く美しい状態で愛用することができます。
- 着用後や収納する前には定期的にブラッシングと点検を行いましょう。このケアによって、表面のほこりや残った汚れ、軽いシミを取り除くことができます。
- 頑固な汚れや目立つシミがある場合は、収納する前にしっかりとケアを行いましょう。早めに対処するほど効果的です。(これらの汚れは表面より奥まで入り込みやすく、時間が経つと落としにくくなります。)
- スエードシューズを守る最も効果的な方法のひとつは、雨や雪などの湿った天候の日には履かないことです。特に、大雨や積雪が予想される日には注意しましょう。
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収納時のポイント
- スエードシューズは、通気性のある綿や布製のバッグ、もしくはシューズボックスに収納しましょう。直射日光を避けることで、色あせを最小限に抑えることができます。
- スエードシューズは、必ず完全に乾かしてから収納しましょう。特に、保護スプレーを使用した後や、クリーナーでケアした直後は注意が必要です。
- シリカゲルなどの吸湿剤と一緒に収納し、カビや湿気によるダメージからスエードシューズを守りましょう。
- 中性紙(酸性を含まない紙)やシューキーパーを使用して、靴の形や構造を保ちましょう。
スエードシューズのクリーニング時に起こりやすいミス
スエードは繊細な素材であるため、やってはいけないことを知ることも、正しいお手入れ方法を知ることと同じくらい重要です。後からのケアより予防しておくことが何より重要です。
水で洗ったり、水に浸さないでください。
水は万能のクリーナーですが、スエードにとっては最大の敵です。水により見た目を悪くするシミや跡ができ、素材の質感が変わってしまうことがあります。少量の水なら問題ありませんが、浸したり濡らすのは避けましょう。
熱にさらさないでください。
熱もまたスエードの天敵です。スエードは乾燥機やドライヤーなどによる直接的な熱にさらされると、縮んだりねじれたりして形が変形し、元に戻せないダメージを受けることがあります。
過度なブラッシング、擦るのはやめましょう。
どの過程でもやりすぎは逆効果になることがあります。スエードシューズを過度にブラッシングしたり、強くこすりすぎたりすると、スエードの柔らかい繊維が傷つき、望ましくない摩耗を引き起こす可能性があります。
適度なケアが最も効果的です。
強力な化学製品やシューズポリッシュの使用は避けましょう。
靴用のポリッシュを含む、強力な化学薬品の使用は避けましょう。これらの溶剤はスエードの繊維を変色させたり、ダメージを与える可能性があります。また、成分が不明なウェットティッシュも使用しないようにしてください。スエードシューズを傷める原因となることがあります。
ポイント
製品やケア方法などを初めて試す場合、必ず目立たない部分で先にテストしてください。
スエードシューズはワードローブに入れておきたいシューズとして定着し、クラシックでありながらスタイリッシュなアクセントを加えるデイリールックにピッタリなアイテムです。スエードシューズを長く快適に使うためには、自宅での正しいケア方法を知っておくことが不可欠です。
今回のステップ別ガイドを通して、スエードシューズを最高の状態で保つためのケア方法についてご理解いただけたかと思います。もし洗練されたスエードシューズをワードローブに加えたい場合は、ぜひこちらのコレクションをご覧ください。