ミュールのすべてとコーディネート方法
活用度と実用性の面でミュールほど飛びぬけたシューズは珍しいでしょう。ミュールはモダンクラシックスタイルの代表者で現代の女性のシューズコレクションから外せない必須アイテムとして楽な履き心地のおかげで多くの人々から愛されています。継続的な人気があるスタイルのため多様なスタイルとムードにマッチするものを探しやすいアイテムです。
今回のガイドでは、ミュールとは何か、その歴史、そしてクロッグやスライドサンダルといった姉妹スタイルとの違いについて詳しく解説します。また、フラットミュール、ヒールミュール、ローファーミュール、スニーカーミュールなど、様々なタイプのミュールについてもご紹介します。最後に、様々なシーンや季節に合わせたミュールのスタイリングに関する役立つヒントもご紹介します。
ミュールとは?
ミュールは、かかと部分がないデザインが特徴のシューズです。脱ぎ履きのしやすさと通気性の良さから愛されており、快適さ・利便性・スタイルを兼ね備えた一足といえます。ヒールタイプからフラット、さらにはスニーカー風のハイブリッドまで、多彩なデザインが展開されているため、あらゆるコーディネートやシーンに合わせられるミュールが必ず見つかります。
ミュールの歴史と変遷
ミュールの歴史は古代ローマまで遡ります。”紫の靴”を意味する”mulleus calceus" が由来しており3人の最高公職者のみ着用が許されていました。現在とは違い足全体を覆うデザインだったと言います。繋げて16世紀にはフランスの女性たちが寝室でミュールを履き始めました。しかし、次第に宮殿の人々から人気を博し、より広範囲で着用される靴となっていきました。17-18世紀のミュールは尖ったつま先・低いヒール・刺繡装飾などが特徴で、優美で繊細なディテールが多くありました。
20世紀に入り、ミュールはアメリカで大衆的人気を集めるようになります。映画俳優のジョアン・フォンテイン(Joan Fontaine)とマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)が映画にて着用し注目を集めたのです。第2次世界大戦当時、高級素材の供給が難しくなり主に合成ヘンプやプラスチックなどの手頃な素材で作られるようになり、一般の人々でも気軽に履けるシューズとなりました。オープンバッグデザインが着脱を簡単に、一般的に低めのヒールが付いているため、さりげなくスタイルアップ効果を得られる一方で、履き心地の負担が少ないことから、ミュールはますます愛されるスタイルとなりました。その後、多彩なデザインが登場し、カジュアルなデイリールックからフォーマルなイブニングルックまで、幅広く合わせられる汎用性の高いシューズへと進化しました。
ミュール / スライド / クロッグの違い
ミュールはときどきスライドやクロッグのようにスリップオンのスタイルと混同されがちです。しかしいくつか重要な違いを覚えておくと簡単に区分することができます。まずクロッグとミュールはどちらもオープンバッグデザインですが、クロッグは足の形に合わせた厚くしっかりとしたフラットフォーム形態のソールを特徴とします。一般的に木のような頑丈な素材で作られ、どっしりとした安全感のあるシルエットを持っているのです。反面、ミュールはソールが薄くフラットから多様な高さを持つヒールまで、デザインスぺクトクラムが一層広いです。
スライドもまた、オープンバッグのシューズですがつま先が開いているオープントゥデザインというところでミュールと区分できます。スライドは甲に被さるようなバンド状のストラップで足を固定しますが、ミュールは足先まで完全に覆われているデザインが一般的です。
ミュールのタイプ
フラットミュール
名前からでもわかるように、フラットミュールはソールが平たかったり高さがとても低い幅広のシューズです。スリッパと似たような形で楽な履き心地をポイントとします。デザインによって楽なカジュアルコーデにも格式高いフォーマルルックにもマッチするのです。
ヒールミュール
ヒールミュールは一般的にパンプスは少しプレッシャーになるという方々へぴったりのシューズです。履いた時の優雅さはそのままに維持しながら段違いの楽な履き心地を持ち、自然にスタイルアップ効果もプラス。ヒールはデザインがいくつもあるため皆様の背丈や好みのスタイルに合うものを見つけやすいという点も長所です。スリムで洗練されたシルエットをお望みでしたら キトゥンヒールやスティレットヒールがおすすめ。適度に高さがあり安心感のある履き心地がお好みなら、ブロックヒールを選んでみるのも良いでしょう。
プラットフォームミュール
大胆なチャンキーソールが魅力的なフラットフォームミュールは厚底でスタイルアップ、さらに楽な履き心地も同時に叶えられるアイテムです。高さのあるブロックヒールと厚いフラットフォームスタイルのどちらもカジュアルでありながら余裕を感じさせるムードに、お出かけ時のコーディネートからオフィスカジュアルまでもれなくマッチするでしょう。
ローファーミュール
ローファーミュールはカジュアルとフォーマルの間の絶妙なバランスを取ったシューズで、スマートカジュアルルックに合わせるのが良いです。つま先が覆われたハイバンプデザインにオープンバッグデザインを掛け合わせ、ローファーよりカジュアルに、かしこまった印象も与えたいならぴったりなアイテム。着脱が簡単で活動的な社会人の女性にオススメです。
スニーカーミュール
履き心地が良く楽なシューズといえばスニーカーが思い浮かぶでしょう。しかしミュールスニーカーはそこにバックレススリップオンデザインを追加し、さらなる安らかな履き心地をお届けいたします。手軽くスポーティーでシックな雰囲気を演出できるアイテムで、一般的にレースアップディテールにクッションが効いているフットベッドとフラットフォームソールを特徴とします。
TPOに合わせたミュールスタイリング
簡単でありながらスタイリッシュなミュールは、それこそどんなシチュエーションでも活用できる万能デイリーシューズです。ミュールをさらに素敵にコーディネートできるよう、多様なTPOごとのミュールスタイリングのコツをご紹介いたします。
カジュアル&デイリールック
安らぎが重要なカジュアル・デイリールックにミュールほど適合力が高いシューズを探すのは難しいでしょう。軽めの外出やブランチの約束があるときミュールを活用してみてください。デニムやワイドパンツとの組み合わせが自然でありつつ、センスを感じる着飾りすぎないルックを作りあげます。
オフィス&ワークウェア
ドレスコードの自由度が比較的に高い職場に通われている方であれば、オフィスルックミュールを活用されるのも良いでしょう。ヒールミュールを選べばより端正で洗練されたオフィスルックを演出することができ、ニュートラルカラーの場合プロフェッショナルな印象まで与えられます。ただ、会社によって基準が変わることもありますので、お悩みの場合は社内の服装規定をご確認いただいたりHR部署にご確認ください。
イヴニングウェア&ウェディング
ブラックタイや格式高いドレスコードにはミュールを合わせにくいでしょう、しかしカジュアルなイヴニングパーティーには活用しやすいでしょう。輝く宝石装飾がプラスされたハイヒールミュールは、華やかな装いにマッチし、グラムな雰囲気を演出することができます。ブライダルシャワーや結婚式のゲストルックから、ガールズナイトのパーティースタイルまで、スタイルと快適さの両方を兼ね備えたいなら、ヒール付きミュールを選んでみてください。
シーズンごとのミュールコーデ
かかと部分が開いているデザインのため寒い季節にはミュールが合わないと思われていますが、意外にもそうではないのです。いくつかスタイリングのポイントを掴んでおくと、4シーズンずっとミュールを楽に着用していただけます。
春コーデ
ミュールは春のような天気が変わりやすい季節にぴったりです。足を暖かくできながら通気性も良く季節の変わり目にオススメです。ミディアム丈のフラワースカートと合わせればキュートな春コーデの完成です。
夏コーデ
ミュールは楽に履けて通気性も良いので夏シューズにもぴったり。メッシュのような軽く通気性の良い素材のミュールを合わせて暑い夏の季節にも涼しく楽にご着用してみてください。涼しげなサマードレスと合わせれば、リラックス感がありながらも洗練されたスタイルが簡単に完成します。
秋コーデ
秋も春と同じく天気が不規則的であるため、ミュールを活用しやすい季節です。秋の雰囲気をさらに高めたいときはシーズンカラーパレットに合うニュートラルトーンや自然にマッチするブラウン系のカラーをお選びください。
冬コーデ
冬にミュールを履くのはやや難しい場合があります。まず、寒さから足を保護することのできない薄く、軽い素材のミュールは避けてください。その代わりに、シアリングなど暖かく柔らかな素材を使用したミュールなら、冬のコーディネートにも取り入れやすく、足元を暖かく保つことができます。
こちらにウールの靴下やタイツを履くと保温性をさらに高めることができます。しかし、寒さが酷いときや雪の降るような日にはミュールよりも足元をしっかり守り実用的であるブーツの着用がオススメです。
ミュール+ソックスコーデ
最近ではミュールとソックスの組み合わせは一般的なだけでなく、むしろスタイリッシュなコーデになっています。この時重要な点はソックスの丈感やカラーをよく選ぶことです。クラシックなブラックやクルーソックスを選ぶと間違いないコーデが完成すると思いますが、ほかのカラーで個性を表すのも良いでしょう。マキシマリストスタイルをお好みでしたら大胆で個性的なポイントソックスでミュールの魅力をさらに高めてみてください。
ただし、素材はいつも季節を考慮して選んでみましょう。暖かい天気には通気性の良いソックスを、肌寒い日にはふんわりとしたウールのソックスがオススメです。
ミュールは現代の女性のワードローブに一足は入れておきたい万能アイテムです。本来カジュアルな靴として知られてきましたが、今は多様な状況で着用いただける靴として定着していますよね。出勤時や結婚式への参列など、TPOに合ったスタイルをしっかり選ぶと洗練されたルックを完成させることができます。
こちらのガイドを通して、様々な種類・デザインのミュールをスタイリングされるときのご参考になることを願っております。ミュールは適切な素材を選択し正しくスタイリングをすると、一年を通して気楽に着用できるアイテムです。ミュールを新しくお迎えしたいという気持ちが生まれた方は、CHARLES & KEITHがご用意させていただいたミュールコレクションをご覧ください。